腰痛予防

 腰痛の生涯有訴率 は 8 割を超えます。①基礎疾患(悪性腫瘍,感染,骨折)②下肢神経症状併発疾患 ③脊柱退行性(椎間板・ 椎間関節変性)など器質的疾患への診療を受ける必要がありますが、原因の無い慢性腰痛に対しては抗うつ薬、抗不安薬などが奏功する可能性があり、①痛みの知識、②活動の適度な向上(過活動禁止),③疼痛を過度に恐れない、④ストレス対処、⑤怒りの管理など認知行動療法が推奨されます。

1.運動療法(専門医指導による運動):運動群は何もしない群に比べて2年間の腰痛再発頻度と腰痛休暇期間を減少させました。
2.妊婦:妊娠中期に運動を週3 回以上している人は殿部痛が少なくなり、週 2回以下で腰痛とうつ症状が減少しました。
3.職業性腰痛:25kg 以上の持ち上げ動作が腰痛のリスクになります(3kg 以下は問題なし)。作業場の適度な高さ調節が大切です。
4.持ち上げ動作トレーニング、腰痛ベルト、雇用前メディカルチェックによる予防効果は認められませんでした。コルセット(腰部ベルト)使用も腰痛および休職に有意な効果を認めませんでした。

(腰痛の予防 小林和克、今釜史郎 先生著. 特集 腰痛の臨床―病態から治療まで― 日本医師会雑誌 第150巻・第7号、P1174-5.より )

2021年10月14日